株式会社と合同会社の違い

会社法における会社の種類は、①株式会社②合名会社③合資会社④合同会社の4種類です。
しかし、実際に設立される会社のほとんどが株式会社または合同会社です。
そこで、株式会社と合同会社の主な違いについてまとめてみました。

株式会社」合同会社
出資者は1人でも可出資者は1人でも可
出資者は間接有限責任出資者は間接有限責任
「所有と経営の分離」
株主総会と取締役の設置強制
原則として取締役が業務執行
「所有と経営の原則一致」
原則としてすべての社員が業務執行
(定款で別段の定め可)
取締役は自然人のみ業務執行社員は法人でも可
定款変更は株主総会の決議定款変更は原則として全社員の同意
現物出資に関する規制あり現物出資に関する規制なし
決算公告義務あり決算公告義務なし
役員の任期は最長10年役員の任期なし

合同会社を設立する場合、公証人の定款認証を受ける必要はありません。
合同会社の設立登記に関する登録免許税は資本金の0.7%(最低金額6万円)と株式会社設立登記の登録免許税よりも安くなっています。(株式会社設立登記の登録免許税は資本金の0.7% 最低金額15万円)
株式会社に比べ設立コストが安くなるためか、合同会社の設立件数は増加を続けているようです。

株式会社を設立する場合は公証人の定款認証を受ける必要があります。
公証人に支払う手数料は3万円~5万円(資本金の額により異なります)+謄本請求手数料等が必要になるため、登録免許税の差額分を含め、合同会社の設立にかかる費用よりも株式会社を設立する費用は高くなっています。

会社を設立する場合、どの種類の会社を選択するかはコスト面だけでなく、設立する目的から選択をする必要があります。
合同会社は設立時に掛かるコストは安くなりますが、多人数から資金調達をするなど大規模な経営をするには不向きな傾向があります。実際に合同会社は個人の資産管理会社等として利用されることが多いようです。
一方、株式会社は設立時に掛かるコストは合同会社に比べると高くなりますが、株式を発行することにより多人数からの資金調達を行うことができるなど大規模な経営をするのに適した会社形態になります。

一旦、合同会社を設立し、株式会社に組織変更することも可能ですが、債権者保護手続に関する費用や登録免許税などの費用負担が発生します。そのため、事業規模を大きくすることを最初から予定している場合には、株式会社を設立することをお勧めします。

参考書籍

(著)相澤哲・葉玉匡美・郡谷大輔 「論点解説 新・会社法」 株式会社商事法務
(著)安部慶彦 「詳解 合同会社の法務と税務」 中央経済社

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