株主総会の決議の省略(書面決議)
取締役または株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合に、株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、この提案を可決する株主総会決議があったものとみなされます。(会社法319条)
株主全員の同意により、株主総会を開催せずに、株主総会の決議があったものと同様の効果を生じさせることができます。
取締役または株主からの提案
提案の方法は法定されていないため、口頭でも可能となります。ただし、株主からの同意は、書面または電磁的記録(メールなど)で行う必要があります。
取締役から提案を行う場合、取締役会の決議を経ないで提案した場合には、決議取消事由になるという見解(株式会社法第9版(著)江頭憲治郎 P380)がありますので、注意が必要です。
株主総会議事録の作成義務と同意書の保存
株主総会の決議の省略を行った場合でも、株主総会議事録は作成し、本店に備え置かなければなりません。(会社法318条1項、2項)
また、株主全員の同意書または電磁的記録も株主総会の決議があったものとみなされた日から10年間、本店に備え置かなければなりません。(会社法319条2項)
利用場面
株主が一人の場合や親会社が子会社の株式をすべて保有している場合などでは、株主総会を開催するよりも株主全員の同意で決議を省略するほうが手続きの負担が軽くなります。
また、取締役が一人の株式会社において、その取締役が亡くなった場合、株主総会の開催を決定する取締役が不在となるため、通常の方法で株主総会を開催しようとすると仮取締役の選任が必要になります。
しかし、新しい取締役を選任するための株主総会を開催するために、仮取締役の選任を裁判所に申立てるよりも、株主からの提案と株主全員の同意により取締役を選任するほうが費用も時間も掛からないため、株主総会の決議の省略の制度を利用する価値があると思われます。
参考書籍
「株式会社法 第9版」(著)江頭憲治郎 株式会社有斐閣
「Q&A 非公開会社の株主総会マニュアル」(著)江島義昭 株式会社セルバ出版

