簡易合併とは
吸収合併をする場合、原則として、効力発生日の前日までに存続会社及び消滅会社それぞれで株主総会の承認を得る必要があります。(会社法309条2項12号)
ただし、一定の要件を満たす存続会社では株主総会の決議を省略でき、取締役会の決議(取締役会非設置会社の場合は、取締役の過半数の一致)で吸収合併の承認をすることができます。
簡易合併の要件
吸収合併存続会社が吸収合併消滅会社の株主または社員に支払う対価の額が、吸収合併存続会社の純資産額の5分の1を超えない場合、吸収合併存続会社の株主総会決議を省略できます。(会社法796条2項)(無対価での合併の場合も同様です。)
なお、当事会社が持分会社の場合には認められない制度になります。
簡易合併が認められない例外
①存続会社が非公開会社であり、合併対価として譲渡制限株式を交付する場合(会社法796条2項)
存続会社の全株式が譲渡制限株式であり、合併対価として存続会社の譲渡制限株式を発行・交付する場合は、株主総会の決議を省略することはできません。
非公開会社が募集株式を発行する場合には、株主総会の決議が必要なため、合併の場合においても株主総会の決議を必要としています。
②合併差損が生じる場合(会社法795条2項)
存続会社の純資産額が減少するため、取締役が株主総会において説明をする必要があり、株主総会の開催を省略することができなくなります。
ただし、親子会社間での合併において、存続会社(親会社)が連結配当規制適用会社である場合においては、株主総会において差損が生じる旨を説明する必要はないため、株主総会の決議を省略できます。
合併差損が生じる場合は、以下のとおりです。
(1)存続会社が承継する債務額が承継する資産額を超える場合
(会社法795条2項1号、施行規則195条)
※消滅会社が債務超過の場合や存続会社の有する消滅会社の株式が消滅することで存続会社の純資産額が減少する場合
(2)合併対価(存続会社の株式、社債、新株予約権または新株予約権付社債を除く)の帳簿価額が承継資産額から承継 債務額を控除した額を超える場合(会社法795条2項2号、施行規則195条)
③会社法施行規則197条で定める株式の数を有する株主が、株主への通知または公告の日から2週間以内に吸収合併に反対する旨を存続会社に通知した場合(会社法796条3項)
簡易合併における反対株主の株式買取請求権は認められていません。(会社法797条1項ただし書き)
しかし、効力発生日の20日前までに、株主へ通知または公告をする必要があります。(会社法797条3項、4項)
この通知を受けて一定数の反対がある場合は、簡易合併は認められなくなります。
非公開会社であることが多い中小企業同士の合併
非公開会社であることが多い中小企業同士の合併では、簡易合併が認められないことがほとんどです。
しかし、こういった企業では株主数も多くなく、株主総会の開催も容易であることから、簡易合併の手続きを利用する必要性は少ないと考えられます。
参考書籍
「合併ハンドブック」(編)玉井裕子他 商事法務
「商業登記全書第7巻 組織再編の手続」 (著)金子登志雄 中央経済社
「親子兄弟会社の組織再編の実務」(著)金子登志雄 中央経済社
「コンメンタール会社法施行規則・電子公告規則」(著)弥永真生 商事法務

