募集株式の払込金額又はその算定方法
株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、「募集株式の払込金額又はその算定方法」を定めなければなりません。(会社法199条1項2号)
この払込金額と算定方式の具体的な定め方についてまとめてみました。
募集株式の払込金額
「募集株式の払込金額 1株につき金1万円」のように具体的な金額を記載します。
1株の金額に1円未満の端数が生じた場合でも、個々の出資者に1円未満の端数が生じなければ問題ありません。
この場合「募集株式の払込金額 1株につき金150.35円」 「募集株式の払込金額 1株につき金50円35銭」などの記載が可能です。
算定方法
具体的な金額ではなく、算定方法により払込金額を定めることができます。
払込金額の総額を募集株式数で割った時に、1株の金額が割り切れない場合があります。
そのような場合、具体的な金額ではなく「募集株式の払込金額 1株につき金100万円を60で除した金額」と記載することができます。
公開会社における特則
公開会社は取締役会の決議によって募集事項を定める場合において、市場価格のある株式を引き受ける者の募集をするときは、「募集株式の払込金額又はその算定方法」に代えて「公正な価額による払込みを実現するために適当な払込金額の決定の方法を定めることができる。」とされています。(会社法201条2項)
この規定は、いわゆるブックビルディング方式を想定した規定になっています。
参考書籍
「事例で学ぶ会社法実務 全訂第2版」 (著)金子登志雄・立花宏・幸先裕明 中央経済社
「商業登記全書 第3巻」 編集代表 神﨑満治郎 編著 内藤卓 中央経済社
「募集株式と種類株式の実務 第2版」 (著)金子登志雄・富田太郎 中央経済社