株主総会議事録の署名・押印について

株式会社は株主総会の議事について議事録を作成し、株主総会の日から10年間、その議事録を本店に備え置かなければなりません。(会社法318条1項、2項)

この議事録に必要な署名・押印についてまとめてみました。

株主総会議事録には、原則として、役員等の署名または記名押印の義務はありません。
会社法では、株主総会議事録への署名または記名押印の義務を定めた規定は存在していません。

以下の場合には、株主総会議事録に議長及び出席取締役が記名押印をする必要があります。

①会社定款に議事録の記名押印義務者を定めている場合
②株主総会で代表取締役を選定した場合または各自代表の取締役を選任した場合

会社定款で「株主総会の議事については……議事録を作成し、議長及び出席した取締役が署名若しくは記名押印する。」などの規定が定められていることがあります。
この場合は例外的に、株主総会議事録に定款で定めた義務者の署名や記名押印が必要になります。

株主総会で代表取締役を選定した場合又は各自代表の取締役を選任した場合、株主総会議事録に議長及び出席した取締役が署名押印または記名押印をする必要があります。

これは、商業登記申請において株主総会議事録が添付書類となるためであり、押印が必要とされる根拠も会社法ではなく、商業登記規則61条6項1号になります。
商業登記登記規則61条6項1号は、議事録に押印された印鑑の印鑑証明書を添付することを求めているため、この議事録には、個人の実印を押印する必要があります。
ただし、変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑(会社実印)を押印している場合、他の取締役は認印の押印で構いません。

株主総会議事録をWordなどの文書作成ソフトで作成し、電子的記録として保存することもできます。
株主総会議事録を書面で作成した場合に、原則は署名・押印義務がないのと同様に、電子化した株主総会議事録も原則は電子署名をする必要はありません。

ただし、商業登記申請に電子議事録を添付する場合は、電子署名をする必要があります。(商業登記規則36条4項、102条5項)この時に使用できる電子署名の種類は限定されており、法務省のホームページから確認ができます。

参考書籍

「新訂版 議事録作成の実務と実践」(編著)鈴木龍介 (著)内山潤、早川将和 第一法規株式会社

「第4版 会社法定款事例集 定款の作成及び認証、定款変更の実務詳解」(著)田村洋三 /監修 土井万二・内藤卓・尾方宏行/編集代表 日本加除出版

「商業・法人登記500問」 (編著)神﨑満治郎 金子登志雄 鈴木龍介 株式会社テイハン

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