会社届出印の変更方法

会社・法人の代表者は本店の所在地を管轄する法務局に印鑑を届け出なければなりませんでした。(旧商業登記法20条)
この規定は、令和3年2月15日に廃止され、今現在は(令和6年7月時点)会社・法人の印鑑の届出は任意となりました。
会社印の届出が任意になったものの、いままでの会社・法人は印鑑の届出をしており、新たに設立される会社や法人のほとんどが印鑑の届出を行っています。

そこで、会社・法人が届出した印鑑を変更する方法についてまとめてみました。

会社・法人の届出印は以下のような場合に変更することが多いと思われます。

①会社・法人の代表者を変更した場合

②会社印を紛失した場合

③印鑑が劣化し欠けた場合や印鑑を変えたいと考えた場合

会社・法人の届出印を変更するには、以下の3つの方法のいずれかによる必要があります。

①管轄の法務局へ行き変更手続きをする
②管轄の法務局に必要書類を郵送し、変更手続きをする
③オンラインによる登記申請と同時にオンラインで変更手続きをする

法務局にある「印鑑(改印)届出書」に必要事項を記載し、提出します。
この書類には、新しく届け出る会社印を押印し、会社・法人の代表者の個人実印を押印する必要があります。
また、代表者個人の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)1通を同時に提出する必要があります。
この時、印鑑カードを引き継ぐか選択できるため、以前から使っている印鑑カードを引続き使用したい場合は、「□印鑑カードを引継ぐ」に☑を入れ、印鑑カードの番号を記載します。

なお、会社・法人の代表者を変更した場合、従前の代表者が届け出ていた印鑑を引続き使用することはできます。
ただし、代表者が二人いる場合にそれぞれが同じ印鑑を届け出ることはできません。

法務局のホームページから「印鑑(改印)届出書」をダウンロードし、必要事項を記載します。
新しく届け出る会社印を押印し、会社・法人の代表者の個人実印も押印します。

必要事項を記載した「印鑑(改印)届出書」と「代表者の個人印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)」1通を管轄する法務局に郵送することにより届出印を変更することができます。

会社・法人の印鑑はオンラインにより届け出ることもできます。
ただし、オンラインによる登記の申請データ(申請書情報及び添付書面情報)と併せて、印鑑届書等のデータを送信する場合に限られます。
この場合、法務局のホームページに掲載されているオンライン届出用の印鑑届出書を必ず使用しなければなりません。

会社印の届出をしていない場合、商業登記申請書や登記申請代理人への委任状は、電子データで作成し、電子署名をしなければなりません。
この時に使用できる電子署名は、①代表者個人の公的個人認証サービス電子証明書(いわゆるマイナンバー電子署名)②会社・法人の商業登記電子証明書③特定認証業務電子証明書(セコムパスポート for G-ID)に限られます。

また、会社印を届け出ていないため、会社・法人の印鑑証明書を発行してもらうことはできません。
印鑑証明書が発行できないことのデメリットは大きいため、ほとんどの会社が会社印の届出を行っています。

参考書籍

「商業・法人登記500問」 (編著)神﨑満治郎 金子登志雄 鈴木龍介 株式会社テイハン

「商業登記のデジタル完結/完全オンライン申請の実践」(著)吉田直矢 日本加除出版株式会社

「Q&A 商業登記利用案内」(著)土手敏行 一般社団法人金融財政事情研究会

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