一般社団法人・一般財団法人とは
「一般社団法人」とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、一般法人法と記載します。)に基づいて設立される、社員という人の集まりに対して法人格が与えられた社団です。
「一般財団法人」とは、一般法人法に基づいて設立される、一定の財産に対して法人格が与えられた財団です。
一般社団法人及び一般財団法人の設立、組織、運営及び管理、については「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の規定に従います。
一般社団法人の設立
一般社団法人は設立登記によって法人格を取得します。(一般法人法第22条)
この設立登記には主務官庁の許認可は不要です。
設立時社員が共同して(2人以上)定款を作成し、その定款につき公証人の認証を受け、設立登記をすることによって成立します。一般社団法人の設立時には、最低でも社員が2人以上必要になります。
また、一般社団法人は設立の際に、社員による出資が不要であり、資本を形成しません。
そのため、社員に経費支払義務を設けることが可能であり、基金制度を導入することもできます。(一般法人法第27条、第131条)
そのほか、一般社団法人は営利法人ではないため、構成員(社員)に対して剰余金の配当や残余財産の分配を行うことはできませんが、(一般法人法第11条第2項)事業目的は強行規定や公序良俗に反しない限り、制限はありません。(収益事業を行うことができます。)
一般財団法人の設立
一般財団法人も設立登記によって法人格を取得します。(一般法人法第163条)
この設立登記には主務官庁の許認可は不要です。
ただし、設立者が300万円以上の財産を拠出することが必要とされています。(一般法人法第153条第2項) 一般社団法人の設立時と異なり、一般財団法人の設立者(財産を拠出する者)は1人でも差し支えありません。(一般法人法第152条第1項)ただし、一般財団法人は理事会及び評議会を設置しなければならないので、設立時には最低でも7人程度が必要になります。
そのほか、剰余金の配当や残余財産の分配を行うことはできませんが、(一般法人法第153条第3項第2号)事業内容は一般社団法人と同様に収益事業を行うことも可能です。
一般社団法人の機関設計
一般社団法人には、1人又は2人以上の理事を置かなければなりません。(一般法人法第60条第1項)
機関設計として社員総会と理事は必須の機関ですが、その他は定款の定めによって、理事会、監事又は会計監査人を置くことができます。(一般法人法第60条第2項)
ただし、理事会設置一般社団法人及び会計監査人設置一般社団法人は、監事を置かなければなりません。また、負債総額200億円以上の大規模一般社団法人は、監事と会計監査人を置かなければなりません。(一般法人法第61条、第62条)
一般財団法人の機関設計
一般財団法人は、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければなりません。(一般法人法第170条第1項)また、負債総額200億円以上の大規模一般財団法人は、会計監査人を置かなければなりません。(一般法人法第171条)
評議員3人以上、理事3人以上、監事1人以上の合計7人以上の人数が必要になります。評議員・理事・監事それぞれについて兼任することはできません。
設立登記
一般社団法人は設立時社員が共同して定款を作成し、その定款に公証人の認証を受け、法人の代表者が主たる事務所の所在地で設立登記をすることによって成立します。定款の認証手数料及び謄本で5万2千円程度の費用が掛かります。
また、設立登記申請時には登録免許税6万円が必要になります。(登録免許税法別表第一第二四号(一)ロ)
一般財団法人は設立者が定款を作成し、その定款に公証人の認証を受け、300万円以上の財産を拠出した後、法人の代表者が主たる事務所の所在地で設立登記をすることによって成立します。一般社団法人設立時と同様に定款認証手数料・登録免許税が掛かります。
参考書籍
「新訂版 公益法人・一般法人の登記」 伊藤文秀(著) 全国公益法人協会
「各種法人の法務・税務・事業承継」 PwC弁護士法人(著) 中央経済社
「事例にみる一般社団法人活用の実務」 後藤孝典・野入美和子・SUパートナーズ税理士法人(著) 日本加除出版
「一般社団法人・財団法人設立完全マニュアル」 福島達也(著) 学陽書房