種類株式とは

会社法は、会社が一定の事項について内容の異なる2以上の種類の株式(種類株式)を発行することを認めています。(会社法108条)
108条1項各号に掲げる事項について内容の異なる2以上の種類の株式を発行する会社を種類株式発行会社といいます。(会社法2条13号)

会社法108条1項各号は以下の内容について内容の異なる種類株式を発行できると定めています。

①剰余金の配当
②残余財産の分配
③株主総会において議決権を行使することができる事項(議決権制限株式
④譲渡による株式の取得について株式会社の承認を要すること。(譲渡制限株式
⑤株主が株式会社に対してその株式の取得を請求することができること(取得請求権付株式
⑥株式会社が一定の事由が生じたことを条件として株式を取得することができること。(取得条項付株式
⑦株式会社が株主総会の決議によってその株式全部を取得すること(全部取得条項付株式
⑧株主総会等において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの(拒否権付株式
⑨種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役または監査役を選任すること(役員選任権付株式

※⑨の種類株式は、指名委員会等設置会社でない非公開会社のみ発行することができます。

種類株式は、108条1項各号に定められた内容を組み合わせることが可能なため、種類株式は9種類だけというわけではありません。
ただし、会社法108条1項各号に定められたもの以外の種類株式を発行したり、法律にない権利の制限をすることはできません。
したがって、法律に定めのない事項について株主の権利を制限し、義務を負わせたい場合には、個別に株主と契約(株主間契約等)を締結する必要があります。

種類株式を発行するには、発行する各種類の株式の内容及び発行可能種類株式総数を定款に定め、登記しなければなりません。(会社法108条2項、911条3項7号)
もっとも、一定の重要事項を除き、定款には内容の要綱のみを定め、具体的な内容は、実際に当該種類の株式を発行するまでに株主総会または取締役会で定めることとすることができます。

種類株式と対比される概念として「普通株式」という用語が使われています。
しかし、会社法において「普通株式」という用語は存在しません。
株式の内容について、定款で特別な定めを設けていない株式のことを「普通株式」と呼ぶことが多いのですが、内容の異なる株式について定款に定めた場合、その会社の発行する株式はすべて種類株式となります。
そのため、複数の種類株式を発行することができる会社の場合、いわゆる「普通株式」も「種類株式」になります。

参考書籍

「論点解説 新・会社法」  (著)相澤哲・葉玉匡美・郡谷大輔  株式会社商事法務
「募集株式と種類株式の実務 第2版」 (著)金子登志雄・富田太郎 中央経済社
「非公開会社・小規模会社の会社法の基本」(著)弥永真生 株式会社税務経理協会
「株式会社法」(著)江頭憲治郎 株式会社有斐閣

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